お仏壇の中の物語/広島 仏壇 修理 音羽屋
こんにちは。
広島でお仏壇の修理を専門にしている音羽屋の山縣です。
当店は、お仏壇という家の中の大切な場所を繋いでいくことで、その「家ならでは」の想いが伝わっていくことを大切にしています。
この「職人の日記」では、掃除・洗浄・修復・塗替え・移動・保管・御処分・配置・向きのことなど、お仏壇のことで皆様のお役に立てれば嬉しいです!!
ということで・・・
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修復の仕上がった広島型の金仏壇の中のお話になります。
お仏壇の中には蒔絵の様に絵が描かれているものもありますが、こちらのように細工に彩色をしてあるものもございます。
また、これらの細工によっては物語が彫られているものもあります。
この物語には、浄土真宗という宗派の開祖である親鸞聖人や宗派を多くの民衆に広めた蓮如上人のお話しが多いです。
この細工は、何に見えますか?
実は、女性と鬼になります。
「嫁威し肉付きの面」と言われる鬼のお面の物語なんです。
簡単に解説すると
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吉崎という今の福井県のこと。
蓮如上人の教えを聞き、念仏の教えを喜ぶご夫婦がおられたそうです。
しかし、そのお姑さんは大の仏教嫌い!
何とか夫婦のお参りを止めさせようと考えていました。
ある日、お姑さんは鬼の面をかぶって、お寺にお参りに向かう嫁をおどかして寺参りをやめさせようとします。
しかい、お嫁さんは全く動じない。
残念無念と家に帰って、お面を取ろうとしたけれど、なんと顔に張り付いて面が取れないではありませんか!!
その様子を見た夫婦がお姑さんを蓮如上人にもとに連れいき、お姑さんは自分の非を悔いて、泣きながらお念仏を称えると、面が落ちたという物語になります。
その時に取れたというお面は、今も吉崎にあるそうですよ。
こわいですねーー
この物語が伝えたいことをお寺さんにお聞きすると
・・・
私たちの生活において「何でも思い通りにしたい」という心がある。
そんな中、私たちは日常生活の中で、思い通りにならない人間関係で苦悩する。
それは、思い通りにならない他人が、私たちの心の中の「何でも思い通りにしたい」という性根を引っ張り出しているということ。
思い通りを欲するがゆえに、それが自分を苦しめている。
そんな私たちの生き方と有り様を教えてくれるお話しだそうです。
僕も日々、思い通りにしたいと思うことばかりです。
鬼のお面をかぶってでも思い通りにしたいこと、お面が取れなくなる前に気が付かないといけませんね!
お仏壇にはこのようにそれぞれの宗派に伝わる物語やご先祖の想いが沢山つまっています。
ご先祖様が失敗して気づいたことや気を付けないといけないことなど、伝わっているその家ならではのお話しの中に大きな学びがありそうですね。
音羽屋では、お仏壇を通してそういったお話しが伝わっていくように、これからも「ご先祖様の想いにふれる」お手伝いをしていきたいと思います。
本日は、長くなりました。
お読みいただき、ありがとうございました。