ゴミの中の仏様/広島 仏壇 修理 音羽屋
こんにちは。
広島でお仏壇の修理を専門にしている音羽屋の山縣です。
当店は、お仏壇という家の中の大切な場所を繋いでいくことで、その「家ならでは」の想いが伝わっていくことを大切にしています。
この「職人の日記」では、掃除・洗浄・修復・塗替え・移動・保管・御処分・配置・向きのことなど、お仏壇のことで皆様のお役に立てれば嬉しいです!!
ということで・・・
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先日、修復のためにお預りをさせてもらったお客様からお聞きしたお話になります。
お仏壇をお預かりするためにお仏具を一つずつ出していきました。
すると、お仏壇の中から御本尊の阿弥陀如来様とは別にもう一体、仏様が出てきました。
よーーく見ると、真ん中あたりに小さな仏様が立っているのが見えますでしょうか?
手のひらサイズの仏さまでした。
「こりゃぁねー能美島におったころに見つけた仏さんなんよ。私が10代の頃じゃけぇ、70年以上一緒におるんよ。」
その昔、広島市内の生ごみを「ヒロシマゴミ」と呼んで、島の畑の肥料として使っておられたそうです。
「レンコン畑にも肥料として入れよったんよ。そのレンコン畑で、作業をしょうる時にフッと手に当たるものがあってね。そしたら、この仏さんじゃったんよ。」
広ーい畑の中で、手にふれた小さな仏様。本当に奇跡のような出来事です。
「母親を早くに亡くして、兄弟も戦争で帰ってこんようになった。さびしかったね。夜になったらこの仏さんをなでると落ち着いてね。見てごらん、毎日毎日なでるけぇピカピカじゃ。」
「仏さんもゴミの中から私に救われたんじゃが、私も心を救ってもらったね。今の人らには分からんじゃろうが、人は弱い。仏さんと一緒じゃ思うたら強く生きていけるよ。」
思わず手を止めて、お話に聞き入っていました。奇跡のような、ステキなお話。
最後には
「あんたらもええ仕事じゃね。綺麗によろしゅう頼んますね。」
と心温まる励ましのお言葉を頂きました。この度は、ご依頼を頂きありがとうございます。
音羽屋では、お仏壇と一緒に「仏様にまつわるその家ならではのエピソード」も残していきたいと考えています。今回のお客様もお仏壇と一緒に、小さな仏様のお話がご親族の方へと語り継がれていくことを願っています。
まだまだ、全く手のひらに仏様が現れるような人間ではありませんが、作業だけはなく、信心も磨いていかないといけない!と、心にズシンときた出来事でした。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。