「仏具の供出」があったあの頃…
こちらは、香炉と呼ばれるお仏具になります。香炉、灯立、花立という具足(ぐそく)は、全てのお仏壇において香・ロウソク・お花を供えするのに使用する仏具になります。
灯立や花立は一対になっていて、同じ形のものが二つあることがほとんどなのですが、本日のお客様では違っていました。
灯立をよくみると全く違う形なんです。
お花立も左右で異なった形です。
お客様にお聞きすると…
「供出で片方はもっていかれてねー」
「そうですか。他のお客様でもよくお聞きします。」
「これらは、片方を隠しとったけぇ、残っとるんよ。」
「輪灯を持って行かれた方が多いですね。お寺でも梵鐘を持って行かれたとか」
「戦争はイケんね・・・」
太平洋戦争において、戦局の激化と物資の不足を補うため、所有している金属類回収を行うという「金属類回収令」という勅令があったそうです。真鍮で出来ている重たい仏具は、供出という形で当時の政府に差しだしていました。
持って行かれた方々は、仏様のお道具をなんとか戻してあげたいと長年にわたって願い続けておられる方が多いです。
そして、修復を機会にお買い求めになられたり、今回のように左右の形は違っても修理をしてお使いいただいたりしてくださっています。
様々な事を仏様・ご先祖様と一緒に過ごしてきて、今があるということを改めて教えて頂きました。
大変な時代を越えて、生かせてもらっている今がある。大切に生きないといけないですね!
この度は、沢山のことを学び気づかせて頂き、本当ににありがとうございました。